2022年6月25日、この前日から急に暑くなり始めて、この日も最高気温35℃の予報。そんな中、僕は「秋山温泉に入りたい」というその理由だけで山行を計画。
秋山温泉とは山梨県上野原市にある源泉かけ流しの温泉施設で、その特徴は「ぬるい」と言えばいいでしょうか。いちど訪れたことがあって、そのぬるさにずっと入ってられるじゃんと思ったものでした。この暑い時期にゆっくりと浸かりたいと思ったのです。
しかしただ行くだけではつまらないので、だったら山を登ってからそのまま向かおうじゃないかと。実は5年ぐらい前にいちど同じ計画を立てたのですが、その時はすぐに雨が降ってきてしまって、山は登らず温泉だけ入ったというのがいちど訪れた時だったのです。
今回行く山は鶴島御前山(つるしまごぜんやま)と高柄山(たかつかやま)。その後は大地峠と金山峠を経て秋山地区に下りるという12㎞弱の行程を計画したのです。
急登で手強い鶴島御前山へ
JR上野原駅にやってきました。駅舎が立派になってからは初めて降りたかと思います。高校生がやたらといて、朝の7:30なのでちょうど通学時間帯と重なったようでした。
桂川(相模川のこと)にかかる橋を渡りながら、これから行く鶴島御前山を目指します。この中央線沿線にはここを始め、大月までの間に「御前山」と名の付く山が6つあります。それを区別するために地名をつけて呼んでいます。
橋を渡り切ると、道路の本線は左にカーブしていますが、そのちょっと手前で右側に曲がる道路があります。その右側へ曲がって道なりに進んでいきます。しばらくは住宅が並ぶ道を歩きます。
鶴島御前山が目の前に立ちはだかっています。もうこの写真を見ただけで、急登が待ち構えているのが容易に想像できます。そう、この山の急登はかなりのものと、登った人なら誰もが言いますね。どんなもんなのか期待が膨らみます。
民家も途切れて、いよいよ登山口が近くなります。その手前に動物が民家の方に来ないようにとゲートがあります。夜は閉まっているのでしょうね。
ゲートを過ぎるとすぐに登山口に着きます。もういきなり急な階段となっていて、しかも入口は鬱蒼としています。なんかもうこれだけでマニア向けって感じですよね、何のマニアかわかりませんが。
狭い山道を登って行きます。ここ数日の雨の影響で道はわりと滑りやすい感じでした。
すぐにお助けロープが出てきます。写真で見るよりも急なので遠慮なくロープを掴んで登って行きます。でもまだこの辺は良いんですよね、普通に歩けるので。
もう休み休み登ってますよ。そういえばこの辺りで害獣駆除の猟師さんと会いました。近辺に25人ほど入っているとか言ってて、登り始めから犬の鳴き声がしていたし、このあと何度か発砲の音も聴きました。
だんだん登りがきつくなります。かなりの急登で、大げさではなく奥多摩三大急登に匹敵するし、前回の天祖山への最初の登りを思い出す急峻さです。低山だからって侮れないというとても良い例ですね。
登り切ったところが山頂なのかと思っていたらまだでした。祠がでてきたので、今日の山行の安全を祈りつつ先へ行きます。
着きました、登山口から30分ちょっとで鶴島御前山です。写真を多く撮っていないのでお見せすることができませんが、山頂直下はかなりの急斜面で、ロープにかなり助けられました。
5年前にいちどここをトライしていたものの、かなり下のほうで雨に降られて断念したので、ここまで急なのかというのは今回改めて知った次第です。その頃に、中央線沿線の御前山6座を一気に駆け巡る計画を立てていましたが、今回の鶴島御前山を登って思いました「それは無理」と。なぜなら、すぐ隣にある栃穴御前山もここと同じようなところで、この2座だけでもう十分なのではという気がします。
さて、山頂に着いたものの、景観はないし暑いのですぐに先へ行きます。
新矢野根峠を経て高柄山へ
鶴島御前山をあとにし、続いては新矢野根峠へと向かいます。峠には東屋があって休憩可能のようなので、とりあえず座って休みたいという欲がすでに出ています。
山頂からの下りも一気に下って行く感じで、このようにいきなりロープが出てきます。
地図で見る限りでは、鶴島御前山から新矢野根峠まではそんなに距離があるように思えなかったのですが、一気に下りてきたところにあったこの道標を見てびっくり、ここから1時間も歩かないといけないのかと。しかもこの先は九十九折でやたらと登って行くので、気持ち的にダメージが大きかったです。
つい先ほどまでいた鶴島御前山が見えました。500m弱の低山なのにかなり手強かったですね。ここに道を造って登った人は凄いなと思いますよ。
鞍部にやってきました。結構下ったので、この後はまた激しく登るのだろうと覚悟。
ちょっとした沢沿いを歩きます。ここは涼しかったけど、虫がやたらと飛んでくる。暑い季節はこれだけが嫌ですね。
谷底から登って尾根に乗ると金網の柵沿いに歩きます。すぐ近くにゴルフ場があるので、恐らくごフル場の敷地なのでしょう。この後に急登が控えていましたよ。
新矢野根峠へ着きました。先ほどの道標からぴったり1時間でした。ここには東屋があって中もこのようにきれいなのでちょっとばかり長めの休憩をとりました。さすがに炎天下を歩くのは体力を消耗します。心地よい風が吹いているのがせめてもの救いではありましたが。
さて、この時にちょっと焦ったことがあります。この日僕は500mlのペットボトルと、他に水を1.5リットル凍らせた状態で持ってきましたが、ここに着くまでにすでにペットボトルが空になり、水を500mlほど移して、それもすでに飲み干してしまい、この時点で残りが1リットルとなっていました。
まだ工程の半分も行ってないのに、これはもしかしてヤバイかもと思いながら、次の高柄山までの消費量でその後の道を決めようと思いました。
約20分の休憩後、高柄山へと向かいます。最初はこのように歩きやすい道でした。
だんだんと道の様子が変わってきます。トラバース気味のここはやたらとロープが張ってあって、左側は落ちたらかなり谷底まで転がっていってしまいそうなところでした。道も枯れ葉がつもっているし、足元がわかりづらい感じもあるので、要注意な道であることは間違いないです。
歩きやすそうに見えますが、ここに来るまでに急登を登った記憶があります。このコースは地味にアップダウンを繰り返すので体力使いますね。ましてや暑さの中、疲れます。ここよりもうちょい手前でストックを出しました。普段あまり使わないのですが、さすがに急登を登ったり下りたりを繰り返してきたので支えが欲しいと思ったのです。
そしてついに高柄山の山頂が見えてきました。
はい、山梨百名山のひとつ、高柄山です。標高は733.3mです。
ここでこの日初めて人と会いました。山頂で休憩をしていた男性で、四方津駅から登ってきたそうです。その前日には三頭山に行ってきたらしく、この時期に2日続けてだなんてタフだなと思いました。それともむしろスパンは短くしたほうが逆に疲れないのかもしれませんね。僕はだいたい前回の山行から2週間とか3週間は空いちゃうので。
男性と会話をしながら10分ぐらい休憩して、いよいよ秋山温泉に向けた道のりを進んで行きます。
脚の痛みでペースダウンしつつも秋山温泉へ
高柄山を下り、次なる目的地は大地峠です。
さて、高柄山を下りている時に脚の膝の裏側に痛みが走りました。実は前回の天祖山へ登った後の中尾根を下っている途中で、足を滑らせてしまい、その時に踏ん張ったものの膝裏の筋を痛めてしまったのです。バスに乗るためにスピードを緩めず林道を歩きましたが、その後2日ほどは階段を上り下りするのに痛みが走るということがあったのです。
その時は一時的なものだろうと思っていましたが、前回から2週間が過ぎているにも関わらず、再び同じところが痛み出したのです。特に下りになると時には激痛が走ります。登りでは特に痛みも無かったので、登りだけはスピードをあげ、下りで慎重に進むというかなり疲れる状況になってきました。
この程度であれば走るように下りていくところなのに、足の置き方によっては痛むので歩幅を狭くしてゆっくり下りていきます。ちなみにこの前後で10人ぐらいとすれ違いました。
こんなお助けロープがついているような登りを、登りなら大丈夫だからってガシガシ進んでいくも、すぐにバテて立ち止まることが何度も。
やたらと倒木のある一帯も通りました。この辺でペットボトルが空になって水を足したので、いよいよ残りがやばくなってきていました。
最後はかなりの急登を経てこの林道に出てきました。ここが大地峠なのか、正確な場所はわかりませんが、とりあえず出てきました。このあと、さらに登って旧大地峠に向かう予定でしたが、脚の状況を鑑みてそれはやめておきました。
アスファルトの林道をほんのちょっと下り、この鎖の向こうへと行きます。金山峠を経て秋山地区に下りるという算段です。とりあえず水は500ml以上は残っていたので行けると判断しました。とは言っても、もし水がなかったらアスファルトをさらに下っていくつもりでしたが、それでも結構な距離があったんですよね。
林業の都合なのか、やたらと林道がキレイにならされていて、いまの脚の状態には嬉しいが、道的にはいまいちの場所ですね。こんなところを30分は歩いていないけど、20分は歩いたかもしれません。
削って造られた林道が終わりを迎えるころへ、金山峠がでてきました。さすがに暑くて脚の痛みがあるのでどこかで休みたい。奥に切り株で作ったテーブルみたいのが見えるので、そこへ行ってみるとクモの巣だらけで座る気になれないので、さらに奥へ進んでガチの切り株に腰かけて休憩。ここで残りの水をペットボトルへ補充しました。あとは下るだけだと思っていました。
ところが、金山峠を過ぎてもまだ登ります。登るということはこのあと結構な急下りをするのではないかと心配していたのですが、その嫌な予感が見事に当たってしまい、膝の裏に何度か激痛が走ります。
何度か登り下りを繰り返し、かなりの急登を登った先は金ピラ山。なぜ「ピラ」とカタカナなのか、いま見るとそう思いますが、この時はもう早く下って山行を終わらせたい気持ちしかなく、ややもするとこの写真すら撮っていなかったかもしれないぐらい、暑さと脚の痛さでくたびれていました。
金ピラ山からはかなりの急下りで、ロープもあったし途中はこんなだし、本当はこの後は桜井峠を目指すつもりだったけど、一刻も早く普通の道に出て平らなところを歩きたいという気持ちだけでした。
どうにか一般道に出てきました。しかしここからの歩きが長いんですよね、覚悟の上ですが。
とはいえ、まだ農道なんですよ。一般車道にはまずここを下って行かなくてはならず、普通に歩いていても激痛が走るので、とても遅いスピードで下りていきます。暑いからさっさと進みたいのに・・。
アスファルトの上を歩くこと20分ほどで、秋山温泉へ通じる橋に来ました。やっとだと思ったら、ここからさらに10分弱歩きました。もうクタクタです。
秋山温泉は上野原市民(と近隣の大月市民、小菅村民、丹波山村民)だと620円で入れますが、僕のような市外から来た者は820で入ることができます。単純アルカリ温泉で、源泉かけ流しのお風呂は過熱無しの36℃とか37℃のぬるま湯で、とても気持ちが良いです。
暑い中を歩いた後の、風呂上がりの生ビールは最高でした。生ビールがめちゃくちゃうまいと感じたのは久しぶりでしたね。一気飲みできそうだったけど、それはやめておきました。
山行から2週間近くが経ちますが、膝裏の違和感はまだあります。とは言いながらも、1週間前に10㎞ほどのウォーキングをしてしまったせいもあるとは思いますが、山のような登ったり下りたりするような歩きはちょっと自粛しておかないと、また痛みが再発しそうな気がします。
最高点の標高: 727 m
最低点の標高: 168 m
累積標高(上り): 1125 m
累積標高(下り): -1032 m
総所要時間: 06:04:35
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